世界陸上に向けた日本陸連のSNSキャンペーンがもったいなさすぎる件
こんにちは、わかつき(@tsubasa_waka)です。
日本陸連がアシックスとSNSキャンペーンを展開しているようです。
8月に開幕する世界陸上ロンドン大会に向けたキャンペーンで、個人的に「わ、もったいないな!」と思ったので書きたいと思います。
画像引用:http://www.jaaf.or.jp/news/article/10597/
参加ハードルの高さとインセンティブとのギャップ
7月19日からはじまったこのキャンペーン。
TwitterやInstagramで日本陸連の公式ハッシュタグ「#サンライズレッド」をつけて投稿すると抽選で代表選手のサイン入りグッズが当たるというものなんですが、
参加ハードルがものすごく高いです。
誰向けのキャンペーン?
参加条件を整理します。
- 日本陸連の公式TwitterまたはInstagramをフォロー
- アシックス社製の陸上競技日本代表レプリカを入手する(購入or借りる)
- レプリカを着た姿を撮り「#サンライズレッド」をつけてTwitterかInstagramで投稿する
あえて悪い言い方をすると、このキャンペーンに参加するには、レプリカTシャツを買わなきゃいけない上に自分の写真をSNS上に晒さなければなりません。
陸上を現役でやっている人か相当なファンじゃないと、なかなか代表レプリカTシャツを購入する人はいないと思います。(サッカーのように代表ユニを着て応援する文化が陸上では根付いていないですし)
この時点で、「昨年のリオ五輪でイケメンのケンブリッジ君のファンになった!」というようなライトなファンは、なかなか参加が難しいでしょう。
また、「レプリカTシャツを着用した姿を投稿」という条件も、一定層「自分の写真を一般公開でSNSにアップしたくない」人がいますので、そういった人を弾いてしまうことになります。
親しい友だち向けの鍵つきアカウントならバンバン写真を投稿する人も多いですが、投稿の中から抽選を行うというキャンペーンの設計上、鍵つきアカウントで投稿しても参加できません。
参加条件をみると、ライトファン向けではなくコアな陸上ファン向けのキャンペーンなのだろうか?と思います。
プレゼントをみるとライトファン向け?
ところが、プレゼントを見ると、
・世界選手権日本代表選手サイン入グッズ(10名様)
・その他グッズ(20名様)
です。
僕も陸上をやっていたコアファンのひとりとしては、代表選手のサイン入りグッズは確かに嬉しいですが、上記の条件を満たしてまで参加して手に入れたいかと言われると、う〜んと首を横に振ります。
コアファンは日本選手権など陸上の試合を会場まで観に行って直接選手にサインをもらえるような機会があるとありますし、どちらかというとライトファン向けのプレゼントのように思えます。
事実、僕は小〜中学生のころ、当時のトップ選手たちからサインをいただきまくっていました(室伏広治、末續慎吾、朝原宣治、池田久美子、高橋尚子、etc...敬称略)
コアファンが喜ぶプレゼントとしては、
・レプリカTシャツを着て代表選手と1日練習ができる、指導してもらえる
・世界陸上慰労会に出席して代表選手と交流できる
・代表選手の解説つきで世界陸上を観られる(大会後に振り返られる)
などが挙げられると思います。
正直、今回の参加条件でプレゼントがサイン入りグッズだと、なかなか参加モチベーションが上がらないと思いました。
参加条件の難易度とインセンティブによるモチベーションコントロールがバラバラな結果、7月19日以降の「#サンライズレッド」をつけた投稿をTwitterやInstagramでさがしても、ほとんど投稿されていません。(7月23日時点)
参加条件を軽くしてもっと多くの人に参加してもらえるキャンペーンにすればいいのになぁ。
ただでさえサニブラウンが注目されているのだから、ライトファンを巻き込んでもっと盛り上がりたい
今回のようなイベント時の「ハッシュタグをつけて投稿」企画は、ユーザーの投稿が増えることでSNS上で盛り上がりをつくりだし、イベントそのものへの注目度を大きく上げることができます。
おそらく「#サンライズレッド」もそれを意図していると思いますが、SNS上で盛り上がりを作る=ハッシュタグ投稿数を増やすためには、コアファンはもちろん、数が多いライトファンを巻き込む必要があります。
(さらに未ファンまで広がれば「バズった」と言える大きな盛り上がりを作ることができます。)
本キャンペーンにおいてライトファンの参加を促すには、参加ハードルを下げて「興味がある人なら誰でも参加できるレベル」にする必要があります。
盛り上がりを集約+可視化するために「#サンライズレッド」は使うとして、
「サンライズレッド」的な赤いグッズを撮って投稿するだけとか、選手への応援メッセージを投稿するだけとか、それくらい簡単に参加できたほうがよい。
(もしかしたら、日本陸連公式アカウントの投稿をRTするだけ、のレベルでも良かったのかもしれません。)
とにかく「#サンライズレッド」の投稿数を増やして、「SNS上でも盛り上がって日本代表を応援しよう!!」といったムーブメントを作り出す、それくらいの意図があっても良いと思います。
というのは、ライトファンを巻き込みムーブメントを作れるだけの盛り上がりが、いまの日本陸上界にはあるから。
昨年のリオ五輪男子4×100mリレーの銀メダル獲得により、世界陸上におけるリレーへの期待が大きく高まりました。
先日の日本選手権男子100m決勝では、10秒0台の選手が5人も顔を揃えるという史上最高レベルのレースになり、ダークホースだったサニブラウン選手が大会記録で優勝しました。
9秒台達成が現実味を帯びてきて、マスメディアでも陸上に関する報道が増えていた。
Googleのキーワードプランナーで「世界陸上」の検索数を見ると、
2015年の世界陸上開幕前(つまりいまの時期)の検索数は、約6〜10万程度。
対して今年の検索数は約10〜20万。
と、web上での注目度が大いに高まっていることがわかります。
特に今年6月の検索数は前月の2倍近く増えていて(おそらく男子100mへの注目でしょう)、僕の実感としても2007年世界陸上大阪大会以来の盛り上がりなんじゃないかなと思います。
2007年当時と違いSNS上でも盛り上がりが作れるようになった今だからこそ、たくさんの人を巻き込んでみんなで世界陸上を楽しめるようなキャンペーンだったらなぁと、もったいなく思いました。
最後に
本キャンペーンに関しては「もっとこうしたら良いのにな」と思うところはある一方で、日本陸連のTwitterやInstagramの投稿は競技や選手インタビューなどの動画も多く、楽しんでいつも拝見しています。
男子円盤投において、60m37の #日本記録 をマークした #堤雄司 選手の投てき!https://t.co/3tSTdLaTHg#jaaf #陸上 pic.twitter.com/vKIfJx8SFT
— JAAF(日本陸上競技連盟) (@jaaf_official) 2017年7月23日
【#世界選手権 壮行会】#多田修平 選手 @shu_hei_0624(関西学院大学)
— JAAF(日本陸上競技連盟) (@jaaf_official) 2017年7月22日
世界選手権は、8月4日(金)開幕です。
応援よろしくお願いします!#陸上 #サンライズレッドhttps://t.co/2QwAVEkqX3 pic.twitter.com/BVCCruFKnW
世界陸上開幕まであと2週間ほど。
9秒台や男子リレーのメダルなどなど、期待に胸を膨らませて開幕を待ちたいですね。
それでは。