「ヒットの崩壊」から考える"最適化"について
こんにちは、わかつき(@tsubasa_waka)です。
今年のクリスマス三連休は家にこもっていました。仕事をしたり本を読んだりYouTubeを観たり。
その中で僕と同世代の編集者、佐藤慶一さんが編集された「ヒットの崩壊」を読みました。
「小室哲哉はどのように『ヒット』を生み出してきたのか?」「オリコンは『AKB商法』をどう受け止めているのか?」など、音楽業界の変遷とその実情にせまった一冊です。
「AKB商法」はオリコンランキングだけでなく「人間の対決」という仕組みをハッキングしたという話や、ヒットチャートの意義、各アーティストの取り組みなど興味深いポイントが多くありました。
「ヒットの方程式」ではなく、最適解を求める
テレビがメディアの王様であった時代から、インターネットやSNSの登場でメディアの在り方が大きく変わった世の中において、本書でもかつての音楽の「ヒットの方程式」がなかなか機能しないことを述べています。
90年代の巨大なCDセールスを支えたのはテレビによる「刷り込み」だった。ドラマやCMとのタイアップで大量にメディア露出し、とにかく人の目に触れさせることで話題を巻き起こし、ヒット曲を作る。
テレビの役割は「紹介」になった。(中略)、音楽番組に出る人は、すでにライブの現場で確固たるファルベースを築いている人たちだ。もしくは動画サイトやSNSで「バズる」ネタを作ったアーティストが取り上げられることも多い。どちらにせよ、局所的な熱狂を起こっているものを一つの現象としてその外側に伝えることが、テレビの果たす役割の一つになっている。
人びとが接触するメディアでSNSが多くを占めるようになってきた中で、先にSNSで流行ってからテレビに出る、という流れになってきています。
さらに本書では海外事例として「音楽を"売らない"アーティスト」を紹介しています。
概要としては、自身の曲を無料配信で提供しつづけ、まったく有料販売をしません。無料ダウンロードからストリーミング配信のみで、ヒットチャートにランクインさせてライブやテレビ出演料などで利益を得ていくような構造です。
FacebookやTwitterにくわえ、Youtubeやsoundcloudなど音楽を直接アップできるプラットフォームがいくつもあるこの時代ならではこそですよね。
①プラットフォームや流行に最適化させたコンテンツを提供する
②フォロワーを増やし影響力を高める
③実収入につながる仕事を行う
音楽に関わらず、プラットフォームや流行に最適化させたコンテンツを生み出すには、当たり前ですが常に消費者の目線を持ち続ける必要があります。
流行の理解はユーザー心理の理解にもつながる
以前のブログ記事で僕はつんく♂さんが声を失ったことを最近まで全く知らずにいたのですが、これは完全に流行においてかれている事例です笑。
参考:つんく♂さんが声を失ったことを今朝知って衝撃を受けた話
プラットフォームに最適化させるにはそのプラットフォームを使い込んで嗜好や流行を肌感でわかっていなければなりませんし、世間の流行を理解するにはまずは自分も流行に乗ってみて「何がどう面白いのか」を体感しないといけません。
とりあえずシャッフルダンス踊って、ポケモンGOも使って、「君の名は。」を観に行った方がいいんです。(別に踊らなくても観ればいいか笑)
また、流行りを理解することは、そこにいる人の心理を理解することと同義です。
興味ないからやらないのではなく、とりあえず流行を試してみることで新たな気づきを得たり様々な人の心理を理解することは、ビジネスシーンだけでなく日常のコミュニケーションにおいても重要なのではないでしょうか。
また改めて感じたのは、このように誰もが影響力を持てる時代だからこそ、自分の考えや価値観をつくっていくこと、そして影響力を持った後に何をしたいかを考えていくことが重要だなということ。
SNSや動画サービスを使って人気になるのはあくまで手段の一つです。
怖いのは変に目的化しすぎて、先日のキュレーションメディアの件のようにコンテンツの質を無視して最適化だけに走ることです
最後に
本書に書いてあった音楽業界に関することはあまり触れずに、あえて派生させて書いてみました。
「スポティファイ」などストリーミング配信サービスはどのような影響を与えているのか、BABYMETALやきゃりーぱみゅぱみゅがなぜグローバルに人気なのかなどなど、面白い話がたくさんあるので、興味ある人はぜひ読んでみてください。
それでは!